抄録
1.目的
北海道東部太平洋側では濃霧の頻発することが知られている.しかし,「濃霧」とは概念的にわかっているものの,その濃さ(視程)についてはよく分かっていない.今回,視程の連続観測を実施し,同時に1事例のみであるが霧の酸性度及び電気伝導度についても観測をおこなった.これらについて報告する.
2.結果
完全には通年ではないが,北北東の前後および南南西の風の場合に霧が多く出現し,それぞれにおいて視程200m未満の濃霧の出現頻度の多いことが明らかになった.これらの方向は釧路高専から見て南に太平洋,北北東に釧路湿原が位置していることから,北よりの風の場合には釧路湿原における放射霧,南よりの風の場合には移流霧(海霧)であることが容易に想像できる.また,視程100m未満の濃霧も約1%出現しており,これは放射霧,移流霧ともに大きな差異は認められない.2009年7月7日夕方から7月8日早朝にかけて,霧の酸性度および電気伝導度の測定をおこなった.この期間,視程は300m前後であった.pHは6.2,電気伝導度は113μS/cmであった.pH,電気伝導度については今後いくつかの地点で観測を実施し,移流霧と放射霧においての差異を明らかにする予定である.