抄録
2007年3月25日、能登半島西岸付近の深さ約10kmで能登半島地震(M-6.9)が発生した。先行研究は、合成開口レーダ(synthetic aperture radar)干渉画像(以下、SAR干渉画像)を用いて、石川県七尾市中島町古江において馬蹄形状の地表変位を見出し、それが地殻変動や地すべり地形分布図(防災科学技術研究所)の地すべり地形とは無関係に生じた初生地すべりの可能性を指摘した。本研究では、航空レーザ測量等高線図から微地形分類図を作成し、地表変位と微地形の関係をより詳細に調べた。その結果、地表変位の南西部に地すべり地形が見出されたが滑落崖の向きが地表変位の向きと一致せず、また、地表変位の内部には地すべり地形が見出されなかった。このことから、初生地すべりの可能性を裏付けたが、その素因を探るには、風化層の厚さと帯水層、そして地表変位が分布する地層に挟在する凝灰岩など、地すべりの素因の三次元的な分布を把握する必要があり、今後、ボーリング調査や物理探査を実施することが望ましい。