日本地理学会発表要旨集
2010年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: 410
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北海道釧路市に出現する霧の特徴
*佐川 正人松岡 孝佳中屋敷 祐太郎大前 佑斗
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抄録
I.目的
北海道東部太平洋側では濃霧の頻発することが知られて いる.霧は碍子の絶縁特性を悪化させる原因となる.これを ふまえ,霧の酸性度及び電気伝導度について観測をおこなっ た.これらについて報告する.
II.使用資料・解析方法
使用資料は釧路高専屋上に設置した風向風速計および視程 計(VAISALA 社PWD22)より得られた資料である.風向風 速については10 分間隔で記録し,視程については1分ごと に1分平均値を記録した.視程計はWMO SYNOP コードを出 力するのでこれも1分平均を記録した.霧の酸性度と電気伝 導度を測定するために,釧路湿原南端の地点と大楽毛海岸で 霧を自然滴下させ,ポリ瓶に収集し回収した.ポリ瓶の設置 と回収は,早朝と夜間におこなった.回収した資料に対して 酸性度および電気伝導度(導電率)を測定した.
III.結果
2010 年5 月22 日から6 月22 日の間に22 事例分の資料 回収をおこなった.この期間,南の風に起因する移流霧がほ とんどであった.SYNOP コードは視程が200m 以下であって も「雨・弱」と判定されることが多かったので降雨強度およ び雨量計の値を鑑みながら霧の判定をおこなった.多くの事 例で導電率は湿原地点よりも海岸地点の方が大きかった.こ れは当然のことながら海洋からの塩分が原因と思われる.ま たすべての事例ではないものの,多くの場合,海岸地点より も湿原地点のpH の値が低かった.これは移流霧が市街地お よび工業地域を通過することによりpH が低下したものと想 定される.今後,放射霧の季節にて観測を続け,霧出現時の 風向に対する導電率および酸性度の関係について明らかにし ていきたい.
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© 2010 公益社団法人 日本地理学会
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