抄録
本研究は，東京大都市圏における主要なマンション・ディベロッパーによる供給物件の特性および供給戦略を分析し，世帯の多様化に対応してマンション供給がいかに変容したのかを明らかにすることを目的とする．上記の目的のために，本研究では，メジャーセブンと呼ばれる主要なマンション・ディベロッパーに対して，マンション開発に関わる担当者へのインタビュー調査および供給物件に関するデータの収集を行った．これらを基に，世帯の多様化に対する各社のマンション供給戦略について検討した．
世帯構成やライフコースの多様化が進む中で，マンション需要者の住宅ニーズが大きく変化したことに対応して，これまでファミリー層を中心にマンションを供給していたメジャーセブンは，単身者や投資向けの住戸をファミリー層向けの棟に混在させたり，居住者の属性を絞って供給する別ブランドの供給戦略をとったりするなど，企業によって異なる対応をとった．また，中小企業が中心であった都心のコンパクトマンション供給に乗り出すなど，供給地の立地特性に合わせて供給を多様化させていることが明らかとなった．
