日本地理学会発表要旨集
2011年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: 417
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高田平野東縁地域における断層活動と地形発達史
*丸山 陽央
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抄録
地殻変動の激しい日本列島に分布する平野や盆地の形成には,活断層の運動が大きく影響している場合が多い (たとえば,渡辺,1985;鈴木,1988;廣内,2003など). 本研究対象地域である高田平野は地殻変動が活発な北部フォッサマグナ地域に属しており,周辺の丘陵と平野の境界部は直線的で非常に明瞭であることから活断層の存在が指摘され(池田ほか,2002など),地形形成には断層の活動が大きく影響していると考えられる.高田平野の地形形成の解明は北部フォッサマグナにおけるテクトニクスの解明にもつながると考えられるが,高田平野に分布する断層と地形形成過程について議論が十分でない.そこで,活断層が分布する高田平野の東縁地域について,段丘面の対比・編年と各段丘面の活断層による変位量から平均変位速度を算出し,第四紀後期における活断層の活動について周辺の丘陵と平野の分化にどのように影響を与えてきたかを定量的に求めた上で,高田平野東縁地域の地形形成過程について検討した.空中写真判読と現地の地形・地質調査から段丘面の区分および変位地形の認定を行った.本地域に分布する河成段丘を上位から高位?T面・高位?U面・中位?T面・中位?U面・低位面・沖積面に区分した.地形面の形成年代はそれぞれ,高位?T面は少なくともMIS(Marine Isotope Stage)5c以前,高位?U面はMIS6,中位?T面はMIS5e,中位?U面はMIS5cに対比される.また,低位面は約6000~7000年前に形成されたと考えられる.高田平野東縁地域には北北東―南南西並びに北東―南西走向の活断層(それぞれ水科断層・岡野町断層・菅原断層・日根津断層)が分布する.水科断層は横ずれ変位を伴う可能性がある.算出された平均変位速度は,水科断層が0.3~0.8m/ky以上,岡野町断層が0.1~0.7m/ky以上,菅原断層は0.1m/ky以上,日根津断層は0.7~0.9m/kyである.図1 本調査地域の地形概観と活断層の位置高田平野東縁山本山付近に分布する高位?U面・中位?T面・中位?U面・低位面は日根津断層の活動により撓曲変形を受ける.古い段丘ほど変位量が大きく,第四紀後期以降の変位の累積を示す.このような活断層の活動により第四紀後期以降,高田平野東縁地域は山地と平野の分化が進み,現在のような地形が形成されたと考えられる.
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© 2011 公益社団法人 日本地理学会
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