日本地理学会発表要旨集
2011年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: S1505
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戦後佐世保市における「米軍」の景観
佐世保川周辺の変容
*山本 理佳
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キーワード: 米軍, 軍港都市, 佐世保市, 景観
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抄録

本報告は、戦後日本においてその拠点を構えることとなった「米軍」に着目し、地域にいかなる特徴的景観を生成してきたのかをとらえるものである。対象地域は戦後米海軍基地が置かれることとなった長崎県佐世保市である。ことに佐世保市においては、市の中心部にあたる佐世保川周辺の景観が「米軍」のありようと密接に関連しながら大きく変容してきた。そこには戦前の佐世保川を境として海軍用地/市街地との対立的空間構造を前提としながら、海軍から米軍へ軍の主役が移行していく。とくに米軍の消費産業的側面を強く有する経済基盤として機能していく一方、1960年代の反米運動期には米軍への対立的視線の昂揚をもたらすこととなる。しかしその後は在日米軍縮小期をむかえることとなり、米軍用地の大幅返還を契機とする対立性の曖昧化が大きく進む。さらに近年では「米軍」らしさに関連する景観づくりが市街地側でなされている状況がとらえられた。総じて戦後、「米軍」の存在は佐世保川周辺の景観を大きく変化させてきたことを明らかにした。

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