抄録
ベトナム中部の雨季は北半球秋季である.気候学的には年降水量の50%以上が10月と11月に降る.日降水量が50mm以上である日を豪雨日であると定義すると,豪雨は雨季に発現する.
10月と11月の豪雨頻度はLa Nina年に多く,El Nino年には相対的に少ない.10月と11月の総降水量とNino3.4の関係を調べると,20世紀後半では負相関であり統計学的に有意である.だが,10月と11月の総降水量とEl Nino/La Ninaの関係は1970年代後半に変わったように思われる.1976年以前は総降水量と豪雨頻度もNino3.4とは弱い相関関係であった.また,1928年から1944年の期間においては総降水量とNino3.4の関係は逆転していた.