抄録
2011年東北地方太平洋沖地震により,利根川下流低地では多数の地点において顕著な液状化被害が生じ,それらの多くは,利根川旧河道や,河道沿いにかつて多数分布した湖沼を埋め立てた領域において生じたことが指摘されている.本研究では,それらの液状化被害が生じた領域において,具体的にいつ,どのような土地利用の変化が生じたか,液状化被害域における土地履歴の特徴について,文献資料,旧版地形図や明治初期の迅速測図などに基づいて検討をおこなった.その結果,利根川下流低地で生じた液状化被害の多くは,江戸期や明治期以降に実施された利根川改修工事により流路が付け替えられた旧河道や,現・旧河道に沿ってかつて存在した湖沼などを人為的に埋め立てた領域において生じており,それらの旧河道や湖沼の多くは,食糧増産や開拓事業などの国策により,利根川改修工事の浚渫土砂を用いて昭和20~30(1950~60)年代に埋め立てがおこなわれ,耕地化された領域であることが明らかとなった.このような大規模な河川改修や土地改良によって液状化が生じやすい土地条件(地下水位が浅く,堆積年代の新しい緩い砂質地盤)が広範囲に形成されていたことが,利根川下流低地において顕著な液状化被害が生じた要因の一つになっていると考えられる.