抄録
福井平野を対象地域として、1948年福井地震の際に生じた地変の分布と微地形との関係を調査した。<BR>
地震発生直後に米軍が撮影した空中写真から、地変分布図を作成したところ、平野内に帯状に集中する地変が確認された。この帯の幅は、九頭竜川の川幅に相当するが、地表では噴砂の母材となりうる粗粒堆積物からなる微地形は認められなかった。<BR>
掘削調査を行い、浅層堆積物を調査した結果、現在の後背湿地を構成する、粘土-シルトの細粒堆積物の下位から、シルト質砂-砂礫の粗粒堆積物が検出され、地変の分布や形状と対応することが明らかとなった。これらの堆積物は、その分布範囲や層相の特徴から、河川の河床-ポイントバー堆積物に相当する可能性が高い。<BR>
以上の結果から、1948年福井地震の際には、埋没した河床-ポイントバー堆積物が噴砂の母材となり、地変が形成されたと考えられる。