日本地理学会発表要旨集
2011年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: 311
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『京都市明細図』のGISデータベース構築と近代京都の都市的土地利用
*赤石 直美, 瀬戸 寿一, 矢野 桂司, 福島 幸宏
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抄録
本研究では近代京都の都市的土地利用の特徴を検討するために,京都府総合資料館と連携しながら『京都市明細図』を全てデジタル化した.また,建物単位による詳細な土地利用を定量的に把握するために,得られたラスタ画像をジオレファレンスし,建物単位でGISデータベースを構築しつつある.本発表ではそのプロセスの一端を紹介するとともに,当図から読み取れる近代京都の土地利用の特徴を概観する.
『京都市明細図』の作製範囲は1918(大正7)年の合併後の京都市域のうち市街化された地域が中心となっている.当図は索引図5枚, 図面286枚(そのうち3枚は所在不明)の計291枚で構成される.1枚の図面のサイズは約A2であり,約150枚の図幅には,大規模な土地利用の変更に伴い貼附の跡が見られる.これらをスキャニングしGIS上で幾何補正を行った結果,例えば都市部と周辺地域との建物形態の相違や,建物疎開に伴う土地利用変化,あるいは伝統工芸に関わる陶器工場や染色工場,織物問屋,織職の分布や建物規模など,空間的に把握する事が容易でなかった近代京都の土地利用をさまざまなスケールで検討できつつある.
このような土地利用の特性や都市景観変遷を検討する上で,本研究では立命館大学地理学教室においてGISデータベース化された『京都地籍図』とも重ね合わせることで,精度検証を試みた.両資料には最大40年ほどの年差があることを考慮の上で検討すると,中心部の商店などでは建物と地籍図の一筆とが重なるところが多い.一方周辺地域では明細図に記された,一棟単位の建物と,地籍図に記された面積の広い一筆とは一致しない.そこでは一筆のなかに複数の建物が立地しており,借家の立地や土地所有形態の変容の可能性が推察される.
『京都市明細図』には建物単位による詳細な情報が記されているため,それらを形状とともに網羅的にデータベース化することが必要である.さらに近代期の空中写真や現在のデジタル地図などを重層させることで,近代末期から現在にかけてのミクロスケールでの都市景観変遷,さらには定量的な都市構造の分析へと展開することができよう.今後は,特定地域を取り上げて土地所有の変遷を確認することにより,都市景観の変遷と都市構造との関係性を解明することが課題である.
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© 2011 公益社団法人 日本地理学会
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