抄録
2011年1月26日から27日に噴火した霧島火山新燃岳の降下テフラ層について調査結果を報告する。
〈BR〉 この噴火で降下堆積したテフラ層は、灰白色で発泡の悪い軽石を主体とする。層厚数?p程度で堆積した地域のテフラ層は、極めてルーズで粘着性に乏しい。このゾーンのテフラは重量比で9割以上が1φ以上の粒径を示す。降灰の主軸付近は、4φ未満のシルト以下の粒子の重量比は1%前後にすぎない。しかし、降灰主軸の南側では、次第に1φ未満の細粒テフラの比率が増加する傾向にあり、卓越風向の影響があったことを示す。
〈BR〉 2月6日と3月6日に同じ地点で火山灰層厚を比較した結果、大部分の地点では層厚が減少したが、火山灰層の薄い場所では、生物擾乱による層厚増加が認められた。また、3月6日と6月4日の調査結果を比較すると、変化がない地点と少し層厚が増す地点とが生じ、生物擾乱が相当程度影響することが解明された。また、降下テフラの土色はおおむね黒色方向に変化する傾向が認められた。これらの事実から、降下堆積後4か月後には、ある程度テフラ層の土壌化過程が生じたことがわかる。