抄録
2011(平成23)年7月に行われた室戸ジオパークのGGN現地審査の動向を報告するとともに、室戸ジオパークの現状と、今後の課題について報告を行う。
GGN現地審査では、住民の熱意や説明看板に一定の評価を受けたものの、一方で長期的な運営体制の整備が不十分な指摘を受けた。また、イルカと触れ合える観光施設がユネスコの思想に抵触するという指摘も行けた。また、住民の反応では、現地審査をふまえて広く住民向けに販売された室戸ジオパークポロシャツが約2000枚を売り上げるなど、一定の盛り上がりが見受けられた。一方では、「岩で地域経済が活性化するわけがない」と冷ややかな声もある。
地域の持続的な発展を目指すジオパーク活動は、住民・行政・研究者との協働で行わなければ、地域に定着することは不可能である。行政と研究者には、住民に対して一方的に枠組みを押し付けるだけでなく、住民とともに枠組みを作っていく姿勢が求められる。また、今後は地質学だけではなく、他分野を専門とする研究者の参画が必要である。特に地理学の役割が重要である。