抄録
本研究では、川上村の限界集落の実態を分析し、限界集落の進行を抑制する原因を明らかにし、特に生活利便性に影響を与えるバス交通や空き家対策の問題点をGISで分析する。 奈良県川上村では超高齢化が進行しており、2010年9月末現在で人口は1853人、高齢化率は50.5%(住民基本台帳人口)となっている。高齢化率が集落全体の人口の50%を超える集落が大半で、2010年9月限界集落および限界集落直前の集落の実態調査を実施した。その結果、限界集落への進行は、空き家率と独居率(単身世帯率)に関係していることが明らかになった。限界集落の進行を抑えるには空き家率と独居率を低下させることが重要である。そのためには、買物や医療に関する生活利便生の向上が必要であり、川上町では、空き家対策としての「川上住まいるネット」や「やまぶきバス」が運行されている。特にコミュニティバスとしてのやまぶきバスの運行についてその利便性を、コスト関数を用い、傾斜を抵抗値としてコスト時間距離を計算し、バス利便性を自動計算するモデルをArcGISで開発した。