抄録
江戸時代後半、幕府は寛政11年(1799)~文政4年(1821)および安政元年(1854)~明治元年(1868)の2時期にわたって、箱館奉行の下における蝦夷地の直接統治と東北諸藩(弘前[津軽]・盛岡[南部]・仙台[伊達]・会津・秋田[久保田]・鶴岡[庄内])および蝦夷地の松前[福山]藩による蝦夷地沿岸部の防備を下命した。幕府によるこのような蝦夷地政策に基づいて、幕府の箱館奉行所の亀田土塁が新設されたのをはじめ、東北諸藩による陣屋・囲郭が蝦夷地沿岸各地に建設された。演者らは,陣屋・囲郭の自然環境に関わる地形的立地条件について記載,分析,考察をおこなっている.それらは,1.各陣屋の地形的立地条件の記載(インベントリー(台帳)作成)および 2.地形的立地条件の3D表示である.ここでは,現段階での試行例をいくつか紹介する