抄録
群馬県の北西部に位置する六合村は,2010年3月28日,中之条町と合併した。六合地区は過疎法の指定を受けている典型的な山村である。一つの自治体全域が山村振興法の指定を受けていた507の山村を対象に分析した西野(2012)によれば,1985-2005年の人口増減率の中央値は-21.8%,2005年の20-39歳人口の中央値は16.0%であった。それに対して,六合地区の人口増減率は-17.3%と中央値を上回るものの,20-39歳人口は14.5%とやや低い。2010年の年齢別人口構成をみると,20歳代の割合が小さく,今後,地域コミュニティをどのように維持していくかが大きな問題となっていくと考えられる。本研究では,六合地区を事例に,集落単位の人口減少率・高齢化率を検討した上で,過疎化が著しい集落とそれに抵抗している集落とを比較検討することで,過疎に抵抗している集落の地域コミュニティの特性を考察する。聞き取り調査・アンケート調査をふまえて,ローカルな資源を活かした持続可能な地域づくりの可能性を探る。