抄録
物体色を測定するための分光測色計は通常45度タイプ(0/45)と積分球タイプ(d/8)に分類され,さらに積分球タイプは正反射成分を含むモード(SCI: specular component include)とそれを除去するモード(SCE: specular component exclude)に分けられる.しかし,これらの幾何学的条件の違いに応じて,試料表面で正反射した成分の影響によって,同一試料に対する測色結果はかなり異なってしまう1).特に,試料が暗くその光沢が高い場合には,測色結果と視感的な判断結果とが一致しないことがある.本論文では,これらの幾何学的条件の違いによる明度の実測値について調査し,一般観察条件として通常オフィス内の照明条件下における明るさの視感と一致させる方法について検討を行っている.また,物体色の測色において,幾何学的条件に依存せず実際の視感と一致した明度を視感明度として,それを求めるための計算モデルを提案する.