抄録
本報告では,沖縄県のうるま市に位置する石川川のマングローブ林を事例として,その伐採の例を報告するとともに,沖縄県におけるマングローブ林の保全および管理の地域性について考察を試みる. マングローブ林伐採の具体的な取り組みは,洪水への備えから,2010年頃に開始された.2011年末に,マングローブ林の伐採事業が開始された.2012年3月には,マングローブの伐採は終了しており,一部で浚渫作業が行われている状況だった.河口近くに1ヵ所のメヒルギ群落が残されたが,ほぼ全てのマングローブが伐採された. 石川川の事例では,人工護岸とした際に,マングローブ植生を河川の管理計画に組み込み,マングローブの分布を当初より管理していく必要があったと考えられる.沖縄のマングローブは,保全・増殖の時代を経て,その伐採を視野に入れた,人為的管理の時代に移行しつつある.