抄録
モンゴルでは、歴史的に数年~十数年に一度深刻なゾド(寒雪害)や干ばつが起こり、そのたびに大きな家畜被害を出してきた。最近では、1999~2002年および2009~2010年の干ばつ・ゾドで甚大な被害が出たことは記憶に新しい。こうしたゾド被害の軽減のためには、まず基本的なメカニズムを把握し、現在進みつつある気候変動による条件の変化を考慮に入れた上で、被害を効果的に減少させる早期警戒システムを考える必要がある。本発表では、経験的なモデルや気候モデルの出力を用いたゾドメカニズムの解明、気候変動影響の推定についての筆者らのこれまでの取り組みを紹介しつつ、社会的要因をも踏まえた今後の干ばつ・ゾド早期警戒システムの改善の方向性についても議論する。