抄録
沖積平野に立地する遺跡の成立・廃絶と,短期間に発生した地形環境との関係性を把握するために,庄内川下流域低地に立地する平手町遺跡を研究対象として現地調査を行った.今回実施した平手町遺跡における地形環境の変遷と遺跡立地の検討において,以下の点が明らかとなった. 1)弥生時代は,低地的な環境にあり,恒常的な滞水はないが,一時的な洪水などが発生するような低地的な環境下にあり,周辺植生は照葉樹を主体とするものであった. 2)古墳時代になると遺跡内に河道が形成されるような環境になり,地形環境は不安定化したが,周辺植生は照葉樹を主体とする景観が形成されていた. 3)河道が形成された後の中世以降は一変して陸化が進展し,耕作などが行われる場となったが,周期的な洪水が継続して発生していた. 今後は,周辺遺跡での調査結果との整合性を検討するとともに,遺構の成立過程との関係性を検討することが必要である.