日本地理学会発表要旨集
2012年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: P010
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発表要旨
霧島市におけるBLSマップの作成
市民による「AEDへのアプローチ」の改善のために
*岩船 昌起山口 史枝
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キーワード: AED, BLS Map, google map, 霧島市
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抄録
医学的なエビデンスの蓄積や医療機器の改良等によって、近年、一般市民によるAEDを使用した一次救命処置(BLS)が世界標準で整備されてきた。わが国でも、2004年7月から非医療従事者によるAEDの使用が認められ、市街地等では公共施設を中心にAEDが設置されてきた。そして、行政等によって市街地でのAEDの位置等を示したAEDマップが作成されてきた。しかしながら、日本では、高価なAEDを十二分な数だけ配備した施設はまだ少なく,複雑に入り組んだ市街地を少数のAEDがカバーすることが多い。BLSの実施を効率化するためには、AEDへのアクセスをAED運搬者の体力を含めて予め考察し、緊急時のBLSの実施方法を市民が事前に検討するなど、ソフト面の強化が必須である。そこで本発表では、BLSでの通報やAEDの運搬にかかわる所要時間やその方法についての実証的な研究データに基づいて AEDマップをより進化させた「BLSマップ」の作成の経過について報告したい。調査地域は,鹿児島県霧島市である。人口約13万人の市民が、東西が約30.7km,南北が約37.5km,総面積603.68平方kmの市域に居住している。このうち山地は市域の約6割を占めている。霧島市全域のAEDにかかわる情報は、霧島市消防局の全面的な協力の下に調査・収集した。2010年12月までに、229のAED設置事業者の名称、施設内での具体的な設置場所、電話番号、住所、使用可能な時間帯についての情報を整理し、消防局職員による情報の更新が円滑にできることを念頭にGoogle Mapを用いて「霧島市AEDマップ」に作成し、2011年4月から霧島市ホームページからも閲覧が可能になった。この「AEDマップ」とは別に、霧島市消防局による講習会や住民同士のワークショップ等で使用可能な「BLSマップ」を作成中である。AEDマップ上での微妙な位置のずれを調整し、かつ施設内での玄関等の位置を記すなど、AEDにアクセスできる経路を明確化させたい。また、5分以内で除細動(AEDによる電気ショック)が可能な空間(≒安全域)についても表示予定である。 なお,本研究は,平成23年度科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金(基盤研究(C)(一般))「BLS環境の定量的把握とBLSマップの作成(研究代表者:岩船昌起)」の対象プロジェクトの一部である。
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© 2012 公益社団法人 日本地理学会
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