日本地理学会発表要旨集
2012年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: 411
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発表要旨
ペルー首都近郊山岳地域の青果物流通
*星川 真樹
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抄録
1.はじめにペルーは砂漠地域のコスタ、アンデス山岳地域のシエラ、アマゾン地域のセルバの3つの地域に分けることができ、全国土面積に占める割合は各10.6%、30.5%、58.9%。農地面積では、各4.1%、91.7%、4.2%とシエラに農地が集中している。コスタでは、企業的農業が集中しており、主に輸出向け農産物や大都市向けの蔬菜類を近代的な手法で生産している。シエラは古代アンデス文明の中心地で、古くから集約的な定住農耕が発達し、伝統的手法で自給用や国内消費用の生産物を生産し、コスタとの格差拡大が危惧されている(石井,1997)。しかし、リマ県内の山岳農村地域は、日本における大都市近郊農業地域のように、その生産を維持、または飛躍させていく可能性がより高いと考えられる。なぜなら全人口の3分の1を抱える首都リマでは、青果物の需要が大きく、新鮮な青果物をより安価に市場に輸送しうるからである。さらには、首都に近いことで政府関連の農家支援プロジェクトの情報が入り易く、流通業者からの情報など、情報との近接性の点でも優位にあると考えられ、今後、青果物流通にも何らかの変化が生じうる地域にあるといえる。2.研究目的本研究では、ペルーの首都リマを中心として進行する農産物の流通の変化が、リマ県内の都市近郊山岳地域であるシエラの小農の経営改善にどのように結びつくのか、仮に容易に結びつかないのであればそこにどのような問題があるのかを、首都リマから東に120kmと、直線距離では首都に近いものの、高地山岳地域という隔たれた環境にあり、コスタとの経済的格差が問題となっているSan Mateo de Otao村を取り上げ、青果物流通の実態を描写するなかで明らかにすることを目的とする。また、この地域が、ペルー農業の全体においてどのような役割を担っていくのかも明らかにする。3.調査概要San Mateo de Otao村では、標高1000mから3500mの間に7つの集落が点在している。この村の農家の多くは、農地が1ha以下の小農で、アボガドとチリモヤの両者を組み合わせて生産、販売している。この標高差により各植生や、収穫期が集落ごとに異なっており、各集落の農家がこの標高差をどのように活用し経営戦略に取り入れているのか、さらには、都市近郊である利点性を考慮しているのかについて聞き取り調査を実施した。また、フィールドワークを中心に、農家、仲買人、農作物の輸出企業、政府機関などへの聞き取り調査や統計等の資料収集を組み合わせながら青果物流通の実態を明らかにしていく。
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© 2012 公益社団法人 日本地理学会
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