日本地理学会発表要旨集
2012年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: 313
会議情報

発表要旨
小規模離島における学校の役割と住民意識
沖縄県水納島,慶留間島,大神島,鳩間島を比較して
*堀本 雅章
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
学校の第一の役割は教育の場であるが、特に山村や離島において学校は、地域の中心的な役割を果たすことが多い。本研究では、沖縄県内に位置する日帰り海水浴客の多い本部町水納島、成人の大半を学校教職員と役場職員が占める座間味村慶留間島、島民の70%が70歳以上の高齢者である宮古島市大神島、テレビドラマの影響で急速に観光地化した竹富町鳩間島における学校の役割等について比較した。これらの島を取り上げたのは、同一県内にあり、人口規模が類似するなどの共通点が多いことによる。研究目的は、小規模離島における学校の必要性について4島における住民意識を比較し、さらに学校の役割は子どもの教育以外に何があるのか、学校を存続させていくための方法について考察することである。調査は、中学生以下を除く全住民を対象とし、2008年8月から2010年9月の間に行った。有効回答者数は、水納島37人中34人、慶留間島41人中32人、大神島30人中28人、鳩間島41人中31人である。調査当時の幼小中学生数は、水納島5人、慶留間島14人、大神島なし、鳩間島6人である。
学校の必要性について「絶対必要」、「あった方がいい」、「学校の存続はそれほど問題ではない」のどれに該当するかについて質問を行った結果、大神島以外では「絶対必要」が大半を占めた。特に、島で生まれ育った子どもがいる水納島および慶留間島では学校の必要性が極めて高くなった。学校の役割について4島全体では「島の発展・活性化・明るくなる」、「地域のコミュニティー・交流の場・行事参加」、「大切なもの・場所」と続き、これらは「教育の場」を上回った。学校を存続させるための方法について4島全体では「子どもを増やす(出身者の親子・孫の呼び寄せ、若者の帰島、里子・海浜留学生の受け入れなど)」が最も多く、「就労場所・産業の整備」と続いた。ただし、調査当時既に休校になっていた大神島では、「学校存続は難しい」が最も多かった。小規模離島において、学校は教育の場以外にも多くの役割があるが、住民や出身者だけでなく、鳩間島では全国各地から海浜留学生としてやってくる様々な生活体験を持った子どもに、自然豊かでゆっくりと時間が流れる島での学校生活を送る機会を与えている。 
著者関連情報
© 2012 公益社団法人 日本地理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top