抄録
現在の高校生は生活場で起きている日常の諸現象をどうとらえているか。思いをめぐらせ、思考を展開し、総合化してとらえているか、どうか。いつも報告者には思慮される。ここでは世界各地に生起している、各時代的地球的な課題をどうとらえているか。時代的地域を地球的スケールの観点から、各時代的課題を設定することのできる高校生像の誕生を展望したい。試行錯誤獲得方法の手段には、報告者は「世界史A・B」を意識した歴史性の中で、生活場にみられる環境の多様性の中から、古環境をとらえ、地域を見定める調査がありえると破断する。今のところ学校という範疇では限界だが、身近な古環境把握のための指標、微化石としてはプラントーオパールや珪藻、火山灰、樹木の年輪、いわゆる化石をやはり取り上げてゆくことが重要と判断できる。過去にも報告したように、分析となると安全性の確保と設備(理科室など)・機器、薬品などで、教師が分析し作業過程や成果を動画/画像記録に保存し、いわゆるICT(PC、プロジェクター、液晶テレビ等)で授業時間中に、取り扱う学習項目を設定し、実践者がデモンストレーション(いわゆるプレゼンテーション)するしかないのが現状である。「世界史A・B」を意識した場合にも、珪藻とイネ科のプラントオパールが、微化石を利用した農耕の起源をめぐるトルコ/アナトリア高原地域一帯の古環境復原指標とされた事例から有効性があると判断できる。今回は「世界史A・B」を意識した場合について、2010年・2011年に報告者が在籍校で実践した微化石を検鏡・同定するアプローチの展開例から試行錯誤した事例を見てゆきたい。実践例は「農耕の展開から文明へ」の学習項目の単元である。生徒には新鮮で深い感動を与え、科学の世界へと導いてくれるものと思い実践した。作業提示、実演・演示過程は未展開。分析例と環境の変遷観点から設定実践。模擬的試料採取と試料分析をうまく結合し、高校生の関心・意欲・態度を高めてゆく教材化が課題今後の課題である。