日本地理学会発表要旨集
2012年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: P1224
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発表要旨
マーシャル諸島共和国マジュロ環礁における地下水質の地理的分布
*飯泉 佳子大森 圭祐幸田 和久新田 直人小林 勤
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キーワード: 島嶼, 淡水レンズ, 地下水, 水質
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抄録
1. はじめに
 人口増加や経済発展などに伴い、世界の水使用量は増加している。水資源は地域の持続的な発展や食料供給の鍵となるため、適切に管理する必要がある。特に、淡水レンズを水源として利用する小島嶼国では、気候変動による賦存量の減少や人間活動による地下水質の悪化などが懸念されており、水資源の総合的な保全が求められている。
 本研究は、淡水レンズを有するマーシャル諸島共和国のマジュロ環礁を対象に、地下水の水質特性と土地利用の関係などを検討することを目的とする。
2. 地域の概要
マーシャル諸島共和国は中部太平洋に位置する29の環礁と5つの島を有する島嶼国で、総面積181 km2に5.5万人が生活している。首都のあるマジュロ環礁は北緯7度東経171度に位置し、人口は約2万人である。1971年~2000年における年平均降水量は3,300 mm、平均気温は27.5度であり、住民の水源は貯留した降水および地下水である1)。淡水の地下水は環礁西部のローラ島に淡水レンズとして賦存しており、取水された地下水はパイプラインで首都のマジュロに送水されている。ローラ島の面積は1.8 km2、平均標高は数m、地質は有孔虫砂や石灰岩で構成されている2)
 2011年7月下旬から8月上旬にかけて、ローラ島内にある観測井、取水井戸、民家井戸を対象に、地下水調査を実施した。現場ではpH、EC、水温を測定し、実験室内では主要無機イオン成分の濃度を測定した。また、現地において土地利用や住民の水利用などに関するヒアリング調査を行った。
〈参考文献〉
1)(独)国際農林水産業研究センター:平成22年度環礁島における水資源有効利用技術の開発報告書―マーシャル諸島共和国―, pp.7, 2010.
2)石田ら:マーシャル諸島共和国マジュロ環礁における地下水の塩水化について. 地盤工学会誌, 58, 5, pp.22, 2010.
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© 2012 公益社団法人 日本地理学会
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