日本地理学会発表要旨集
2013年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: 729
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発表要旨
ネパール・テライ低地における農村集落の水利用に関する研究(2)
*谷地 隆
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抄録

1.目的・調査概要 ネパール南部のテライ低地ナワルパラシの農村集落における水利用の状況、ヒ素汚染の実態を把握するため、住民の水利用(井戸)の水利用状況についての住民アンケート調査と水利用・生活状況の聞き取り調査を行った。 テライ低地のナワルパラシNawalparasi郡パラシParasiの東西約6km、南北約10kmにある25の農業集落を対象として、各井戸の概要と利用状況把握のための聞き取り調査を行った。地域の特色、水利用概要については前回日本地理学会(2012年秋)で報告した。 今回は調査対象地域の各ワードを訪問し、聞き取り形式による井戸水利用の住民アンケート調査内容を集計整理し、利用状況について検証した。アンケート調査項目は、住民の属性、水に恵まれているか、利用井戸の種類、井戸の場所・設置年・深さ、水の利用目的、水の味、水の汚れ、砒素汚染・病気の有無、雨水の利用と意識、水利用での要望。2.アンケート調査結果アンケート回収数は116名(25ワード)、男女比:男74人、女32人。生活の水を主に井戸(手押しポンプ)から得る。井戸の深さは60~70フィートが多い。水は比較的豊富で不便性は少ない。乾季の水不足はある。水を安心して飲む(54人)、不安(46人)。水はきれいで安心と感じる人が約半数(53人)あり、汚れ(汚染)を感じて不安を感じる人も比較的多い(36人)。水の味は美味しいと感じている人が比較的多い。水にヒ素が含まれているかは、強く思う(12人)、少し思う68人)合わせて69%がヒ素の不安を持っている。ヒ素被害を知らない人も約2割(24人)いる。水は生水で飲む。沸騰させて飲む人は1人のみ。ヒ素の病気はあるが(3人)、わからない(53人)雨水利用意識は少ない。水道、フィルタの要望が多い.

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