ネパール南部テライ低地では、地下水のヒ素汚染が深刻な問題になっている。中でもテライ低地中央部のナワルパラシ郡においては、特に高濃度のヒ素濃度が検出され深刻である。著者らは2007年から当地で調査を続けているが、2008年3月には、ネパールの水質基準50ppbの36倍に当たる1800ppbの値が検出された。これらの原因としては、地下の帯水層の深さ・地質構造などが大きく影響していると推測される。 そこで、地下水の動態とその利用の実態を把握するとともに、ボーリング調査を行い、ヒ素の濃集メカニズムを明らかにすることを計画している。また、ヒ素汚染対策に関する調査研究も合わせて実施の予定である。本研究は2011年度からの5ヵ年計画で進められている。今回は、2012年8月に実施した第2回現地調査の概要を中心に報告する。