抄録
岩盤クリープを反映する地形(線状凹地等)は地すべりや深層崩壊の前兆現象とされてきた.岩盤クリープの発達機構を把握するためには,その地形と内部構造(地下構造)を結びつけ,かつ時間軸上で評価していくことを試みることが重要である.発表者らは飛騨山脈白馬岳南西方に位置する八方尾根を調査地に設定し,空中写真判読と現地踏査から当地の地すべり地形学図(岩盤クリープ地形を含む)を作成するとともに,地震探査を用いて内部構造の把握を試みている.また,現地で得られた年代試料から線状凹地の形成期を推定した.本発表では,このうち地形判読の結果を紹介するとともに,線状凹地底で採取された14C年代試料の測定結果を基に推定した凹地の形成期を示す.