日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第50回大会
セッションID: DP-125
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DNA損傷の認識と修復機構
DNA損傷によって誘導されるRFC複合体のユビキチン化
*冨田 純也増田 雄司廣明  秀一釣本 敏樹立石 智石川 智子亀井 保博金 鎭炯大森 治夫藤堂 剛
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抄録
DNAの複製や修復に関わる多くのタンパク質が翻訳後修飾を受けることが知られており、取り分けユビキチン化はDNA損傷応答においてそれらのタンパク質が機能を果たす上で重要な役割を担っていると考えられている。PCNAはDNAの複製や修復に関わる様々なタンパク質に対するsliding clampとしての機能を持つタンパク質であるが、DNAが 損傷を受けた細胞中ではRad6-Rad18 複合体によってモノユビキチン化を受け、更にはRad5-Mms2-Ubc13 複合体によってポリユビキチン化も受けることが示されている。ユビキチン化されたPCNAは、損傷乗り越え型のDNAポリメラーゼを損傷箇所にリクルートしてerror-prone pathwayを活性化させるか、あるいは損傷を回避するために未知の機構によるerror-free pathwayを活性化させる。我々は最近、PCNAをDNA上にロードする役割を持つRFC (Replication Factor C) 複合体もまたalkylating agent等の処理を受けた細胞中ではユビキチン化を受けることを見出した。そのようなユビキチン化はRad6-Rad18 複合体に依存しており、幾つかの変異体においてはDNA 損傷無しでもユビキチン化が起こることが明らかになった。更には、そのような変異体あるいは野性型のタンパク質にタグをつけたものを培養細胞中で安定に発現する細胞株を樹立した。変異型,あるいは野性型のタンパク質を発現している細胞株の間で通常の細胞増殖率においては顕著な差は見られなかったが、変異型タンパク質を発現している細胞株はalkylating agentsに対して高い感受性を示すことが明らかになった。
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© 2007 日本放射線影響学会
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