日本地理学会発表要旨集
2013年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: P056
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発表要旨
地形発達シミュレーションモデルによる海岸域における地形変化の再現
*田中 靖井上 信
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抄録

 海岸域には,海成段丘に代表されるように,第四紀後期における10万年周期の海水準変動や地殻変動などを反映した地形が発達している.海岸域の地形変化は内陸の地形にも伝播するため,その地形変化を10万年スケールで予測する技術は,日本の地形発達過程を議論するうえで重要である.しかし地形は,地殻変動や気候・海水準変動,侵食・堆積など,地形変化に影響する様々な要素の相互作用の結果として形成されたものであり,将来の地形を実際のプロセスに即して予測することは容易ではない. このような長期間に及ぶ地形変化を予測する方法の一つに,コンピュータによる数値シミュレーションがある.地形学において,これらは一般的にLandscape Evolution Models (LEMs),日本語では「地形発達シミュレーションモデル」などと呼ばれ,理論地形学や地形プロセス学の研究成果の上に成り立つものである. 本研究では,田中(2011)で提案したLEMsを本研究の目的に合わせて再構築した.具体的には,現在一般に受け入れられている地形変化に関する方程式,過去の海水準変動曲線のデータ,正方形メッシュの数値標高モデル(DEM)を用いて,第四紀後期における氷期-間氷期サイクルの約2周期程度の期間における地形変化を表現することが可能なシンプルで汎用性の高いLEMsを構築した.これを用いて,実在する海岸域の地形に対してシミュレーションを行った結果を紹介する.

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© 2013 公益社団法人 日本地理学会
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