2016 年 45 巻 6 号 p. 281-283
症例は62歳,女性.突然の胸痛と呼吸苦を主訴に救急搬送され,造影CTにて心嚢水貯留を伴う早期血栓閉鎖型急性大動脈解離と診断した.若年で,血性心嚢水貯留も認めるため緊急手術の適応と判断した.術中,上行大動脈に約1cmの亀裂を認め,大動脈壁の解離は認めず,外膜血腫を認めたため,特発性大動脈破裂と診断した.手術は上行大動脈置換術を施行した.術後経過は良好で術後18日目に自宅退院となった.術前診断に難渋する稀な疾患である特発性大動脈破裂に対する手術症例を経験したため報告する.