日本地理学会発表要旨集
2013年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: P060
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発表要旨
多時期MODIS画像を用いた東南アジアの土地被覆・土地利用分布の評価
*東城 文柄小林 繁男
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抄録

 本報告では、東南アジアにおける土地被覆・土地利用の多様性の定量的な評価を目的として、2005年のMODIS(Terra Moderate Resolution Imaging Spectro radiometer)画像のNDVIの季節変動パターンを分析し、土地被覆・土地利用分類を試みた。具体的には、8日間合成MODIS画像のNDVIの季節変動を多年度分析した結果(Tojo et al. 2011)に基づいて、3時期/32日間合成画像データを用いて、東南アジア大陸部の土地被覆(各種の森林タイプ、水田、耕地、水域等)と土地利用(稲作の作付け回数など)の差異が検出できるか試みた。 表1は、作成した分類図の分類クラスのうち、比較的森林被覆率の高い土地クラス(Closed Forest)と劣化した森林または疎林地(Degraded and Sparse trees)に該当するものを選択・統合したうえで、地球地図(ISCGM)の樹木被覆地図(Tree Map)データやFAO統計値と比較した結果である。バングラデシュに関する結果に注目すると、FAO統計値と比較して、本研究の推定値がよく一致している(+0.9%)のに比べて、ISCGMのデータを集計した結果は森林被覆率が過大になっていたが(+15.7%)、これにはISCGMのデータにおける同国北部の広大な浅水域と森林の誤分類が大きく影響していた(図1)。本研究の方法は、このように広域の森林分布の正確な評価に有効な見込みが大きい。更に異なる作付け体系の稲作地の分類などにも有効性が見られ、今後の更なる研究を要する。

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© 2013 公益社団法人 日本地理学会
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