抄録
1.調査目的非営利法人に対する支援や市民社会空間の保護を主目的とする中間支援団体の役割は、社会のニーズや構造が多様化するに伴い増してきており、それに比例して中間支援団体が展開する支援活動も多様化してきている。それは諸外国でみられる共通の事象でもある。このような状況下で諸外国の代表的な中間支援団体はどのような支援活動を展開し、どれほどの成果を上げているのか、その実態を明らかにすることを本調査の目的とした。調査を進めるにあたり、2012年9月7日にモントリオールで開催した公益法人協会主催のCIVICUS国際会議関連会議で作成した中間支援団体のための評価表の自己評価を28カ国の中間支援団体に依頼した。その結果、23カ国から回答が得られ、その回答を指標に分析を行った。2.中間支援団体が行う支援活動の傾向活動内容別の活動実施率は「政策提言」が78.7%、「連携促進・コーディネート」が68.8%、「マネージメント・ガバナンス」が68.3%、「情報提供」が67.9%で、これら4つの支援活動は活発であるものの、「人材育成支援」、「組織評価」及び「マッチング支援」はそれぞれ31.1%、32.3%、37.7%と低い数値が示された。 次に中間支援団体が成果を上げている活動分野の把握を試みた。しかし、調査対象団体による評価は団体によって基準が異なることから、何らかの補正を加える必要がある。そこで、各団体が評価した活動実施全項目の合計値の平均を団体ごとに算出し、その平均値を基準として成果が出ているか否かの分類を試みるべく図1のように色分けした。平均値を上回る活動実施項目の割合を活動内容別に算出した結果、「ガバナンス・マネージメント」が66.4%、「連携促進・コーディネート」が60%、「政策提言」が58.9%、「情報提供」が56.7%、「人材育成支援」が52%、「マッチング支援」が52.9%、「組織評価」が36.5%となった。つまり、前述の支援活動が活発な上位4分野と、成果を上げている上位4分野は一致し、両者は比例関係にあるといえる。3.国別にみた中間支援団体の支援内容の特徴国別でみると、「情報提供」はフィンランドやトルコが得意とし、タンザニアやエストニアが不得意としている。「マッチング支援」はスコットランドやメキシコが得意とし、日本、中国、韓国が不得意としているなど、国や地域によって中間支援団体の支援能力などに差があることが分かった。しかし、このような地域的差異は調査対象団体の能力のみが原因しているとは言い難く、その国で活動する非営利法人のニーズ、政治状況、社会構造の違いも反映されているものと考えられる。