日本地理学会発表要旨集
2013年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: S0202
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発表要旨
大都市圏郊外における通勤流動について
生駒市を例に
*稲垣 稜
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抄録

 本研究は,大都市圏郊外地域の現状をふまえ,居住と通勤の面から大都市圏郊外の変容を考察するものである。大都市圏の日常生活行動に関する研究において,通勤は重要な指標であり続けてきた。 これまでの郊外の通勤研究は、統計データをもとにしたマクロレベルの分析に始まり,その後アンケート調査をもとにしたミクロレベルの分析へと進んできた。報告者は,郊外の通勤流動に与える人々が,郊外流入者である第1世代から郊外出身者である第2世代にシフトした点を踏まえ,郊外第2世代の居住,通勤行動を明らかにした(稲垣,2011)。しかし,現代の郊外は,すでに第2世代さえも親元を離れつつある時代に突入している。したがって,現代の郊外における通勤流動の変化メカニズムを明らかにするには,第2世代からの考察のみでは不十分である。 そこで本研究では,近年の郊外居住者の通勤流動に着目する。また,郊外化時代の動向と比較するため,1970年代に郊外に流入してきた人々も対象とする。 本研究では,国勢調査データとともに,アンケート調査により収集した郊外居住者の居住地,就業地の変化を分析する。対象地域は,近鉄奈良線沿線に位置し,大阪大都市圏郊外に相当する生駒市(および奈良市の一部)である。 生駒市は,1970年代,1980年代には10%以上の人口増加(5年間隔)をしてきたが,1990年代に入ってその勢いは弱まっている。また大阪市への通勤率は,1985年以降,低下傾向となり,1995年以降は大阪市への通勤者の絶対数でも減少を示すようになっている。 アンケート調査は,①1970年代に入居が開始された一戸建て住宅地,②1990年代後半以降に入居が開始された一戸建て住宅地,③1990年代後半以降に入居が開始されたマンション,において,2012年10月~11月にかけて実施した。対象となるのは,世帯主と配偶者であり,アンケート内容は,出身地,前住地,入居当初の就業地,現在の就業地などである。

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