日本地理学会発表要旨集
2014年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: P018
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発表要旨
ネパール・テライ低地における農村集落の水利用に関する研究(3)
*松尾 宏中村 圭三谷地 隆Bhanu Bhakta kandel
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抄録
1.調査概要
 ネパール南部のテライ低地ナワルパラシの農村集落における水利用の状況やヒ素汚染の実態を把握するため、住民の水利用(井戸)の実態について、聞き取りおよびアンケート調査を実施した。
(1)第1回(2012年)調査
 聞き取り・アンケート調査  各井戸の概要と利用状況把握のため、調査対象地域の各ワードを訪問し、各井戸の持ち主・利用者に対して聞き取りおよびアンケート調査を行った。調査結果については日本地理学会(2012年秋、2013年春)に報告した。
(2)第2回アンケート調査(2014年)調査
 2012年のアンケート調査を基に、ヒ素汚染の大きいと思われる2箇所(マフワ、コカプルワ)を対象に全井戸を目安に調査を行った。調査内容は、住民の生活と文化、井戸の種類、設置年、深さ、利用目的、水の量・味や質、砒素汚染・病気の有無、雨水の利用と意識、水利用での要望など。
2.調査結果
・井戸の敷設年数は、5年以内が55(38%)、6~10年が34(23%)で近年設置が多い(第2回)。
・井戸の深さは100フィート以下で様々、60~70フィートが多い(第1回, 第2回)
・ヒ素被害は、井戸設置年と井戸の深さに関係している。
・水利用上は恵まれているが、水質上不安であるという意識がある(2回目
・雨季・乾季の水利用の季節的違いは少ない(1,2回目)。
・ヒ素の病気の経験者が14人(9.7%)あったが、半数の7人が医者に診てもらっていない(第2回)。
・ヒ素除去フィルタ使用は49(34%)で多い方であるとみられる(2回目)。1回目調査では25ワードで1人の みであった。
・井戸水利用上での問題(特に衛生上)も多く抱えている地域であることから、今後の水利用上問題提議とその対策が重要となる。
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© 2014 公益社団法人 日本地理学会
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