日本地理学会発表要旨集
2014年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: P033
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発表要旨
マングローブ環境の中にみる居住地の立地環境変化
―ベトナム・ホーチミン市周辺―
*大友 萌子宮城 豊彦浅野 哲美
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抄録
1.はじめに
ベトナム・ホーチミン市一帯のマングローブ地域を対象に、二時期間の居住地の立地環境変化を分析した。
マングローブ、またその自然環境へ及ぶ人為は種々様々であり、安食・宮城(1992)は、それをマングローブ植物の直接的利用と、マングローブの生育する環境を利用する間接的利用とに分類している。発表者らは、主に間接的利用による人為に着目し、マングローブ環境の利用度による地域区分や、その利用空間の範囲を理解してきた。
ここでは、当該地域のように内陸部までマングローブが分布し、またその利用が見られる空間の中で、居住地の立地環境はどう変化しているのか、水路と道路との近接性という視点で分析する。そこから、マングローブ環境利用の変化について考察する。

2.方法
分析範囲は南北におよそ30km、東西におよそ55kmの四方形内である。
まず、当該地域において1967年に作成された米軍の1/100,000地形図から居住地、
水路及び道路を抽出し、GISデータを作成した。
また、2010年のデータは1/50,000の数値地形図を利用し、
双方から居住地(ポイント)、水路(ライン)、道路(ライン)を抽出、
近接解析を行い、水路及び道路から100m内での居住地を抽出した。

3.結果
各年で抽出された居住地を、1)水路から100m以内、2)道路から100m以内、
3)水路・道路から100m以内、4)範囲外、に分けた。

この結果、約40年間で居住立地の近接性が水路から道路へとほぼ逆転していることに着目する。
発表者らの分析によれば、水路利用度とマングローブ環境利用度の間には高い相関があるが、
道路の利用とマングローブ環境利用度には相関関係は見られないことが分かっている。
発表では、この結果を基に、この地域のマングローブ環境利用の変化、またその地域的特徴について考察する。
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© 2014 公益社団法人 日本地理学会
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