抄録
2004年12月26日にスマトラ島北西沖で起こったマグニチュード9.1の超巨大地震は大津波を引き起こし、インド洋全域にわたって死者25万人以上という史上最悪の津波災害をもたらした。私たちは、文理連携型の調査団の一員として、2005年に最大被災地のインドネシアのアチェ州都バンダアチェに入り、それ以来およそ9年間にわたって被災から緊急対応、復興に至るプロセスについて現地調査を行ってきた。この発表では、災害研究の視点から、特にバンダアチェおよびアチェベサールにおけるエビ養殖に焦点を置きながら、土地利用型の食料生産と、そういった第一次産業に依拠した地域の社会が巨大災害のあとにどのように再編されるかということを議論する。とりわけ、自然ハザードの超巨大性と、地域社会の脆弱性や回復力、そして30年間にわたる武力紛争の影響といった長期間の社会変動に言及する。