抄録
本研究は認可保育園(以下、保育園)を対象に乳幼児の津波集団避難行動における課題を明らかにすることが目的である。分析の結果、明らかになった点は以下の通りである。(1)避難先の変更に伴い避難先階数は上昇したが、避難施設機能の低い場所への避難が増え、冬季には二次災害が懸念される。(2)避難先選定は保育園の周辺環境が工業地・住宅地である場合、困難となる。(3)介助者が少ない散歩・登園時・降園時は避難が困難となる可能性がある。以上により、都心部の保育園よりも周辺部の保育園の方が津波災害リスクは大きい事、また都心部・周辺部ともに冬季積雪期には災害リスクが高まる傾向にある事が分かった。