岐阜県多治見市は,夏季の高温が著しい地域の一つである.過去の調査・研究等により,多治見の高温の仮説として,様々なスケールに渡る以下の7つが示唆されている.すなわち,(1)特定の気圧配置,(2)北西/西側の山からの気流,(3)名古屋都市域からの熱の輸送,(4)盆地効果:多治見市周辺の盆地と山越え気流に伴う小規模なフェーン,弱風時の谷風循環による盆地内の昇温効果,盆地内の空気の滞留による熱交換の抑制,(5)多治見市のヒートアイランド,(6)土壌の乾燥化,(7)多治見アメダス周辺の熱環境の問題である.本研究では,上記7つの仮説について,過去23年間の気象観測データおよび,独自に3年間実施した気象観測により得られたデータを用いて,様々なスケールの視点に立ち,気候学的に検証する.