日本地理学会発表要旨集
2014年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: 411
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発表要旨
冬季日本の降雪変動と熱帯からの遠隔強制
*植田 宏昭
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抄録
冬季日本における降雪の発生環境は、(i)冬季東アジアモンスーンがもたらす強い寒気の吹き出しによる山間部の大雪、(ii)強い寒冷渦あるいは深い寒冷トラフによる平野部の大雪に大別される。本研究では、気象官署降雪深データを用いて多雪・少雪年を定義した上でコンポジット解析を行い、多(少)雪年においては冬季東アジアモンスーンの強化に伴う寒気の吹き出しが強(弱)まっていることを診断的に明らかにした。また、多雪年における大循環場は、ベンガル湾からフィリピン海にかけて対流が活発化し、上層の日本周辺に低気圧偏差が形成されていた。このようなLa Niñaタイプの熱帯強制が日本の降雪変動に関係していることを確かめるために、線形傾圧モデル (Linear Baroclinic Model: LBM) を用いて実験を行ったところ、インド洋から海洋大陸にかけての熱源が、松野-ギルタイプの大気の応答を通して、アジア大陸上における対流圏中上層の高気圧偏差を生成し、その渦度偏差を励起源とした定常波の伝播が、(ii)に関係する日本周辺の低気圧偏差を引き起こしていることが定量的に明らかになった。
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© 2014 公益社団法人 日本地理学会
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