日本地理学会発表要旨集
2014年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: 705
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発表要旨
地理教育用AR(拡張現実)情報システム(2)
*伊藤 悟鵜川 義弘福地 彩堤 純井田 仁康秋本 弘章
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抄録
本報告では、石川県金沢市の卯辰山麓寺院地区を事例に構築したシステムを紹介する。同地区は、金沢市内に現在4カ所ある重要伝統的建造物群保存地区の1つに、種別を「寺町」として2010年選定された。尾根と谷の入り組む山麓で、藩政期は城下町縁辺にあたった場所のため、見通しのきかない複雑な道路網を今なおとどめ(図1)、また住宅等の土地利用も混在する。このため、「重伝建」らしい連続かつ一体の「寺町」景観を期待して、ここを訪問すると、戸惑いを感じる人も少なくない。そこで、このような場所でこそ、ARを利用して、どこに、どのような寺院があるかの情報を提供できれば有用と考え、対象地域とした。
本システムでは、ドイツ metaio 社が提供し、iPhone や Andriod で動作する ARブラウザ junaio を利用する。各種ARブラウザのなかで junaio を利用する理由は、まず無料配信されていることが大きい。これは予算の限られた教育利用では考慮されるべき点であろう。次に、GPS等の位置情報を援用して、コンテンツが提供できるからである。地理教育には重要な機能である。さらに、Channel というフィルタにより、コンテンツの絞り込みができるからである。多種多様なコンテンツが混在して見えてしまう他のARブラウザでは、教育利用には不都合な場合もある。
システム構成では教育用として、① スマートホンやタブレット端末により、野外でも情報を軽快に閲覧できること、② 他方で、様々な情報を、教師や生徒が容易に書き込めること、の2点を特に考慮した。このため、野外で閲覧する AR情報(図2~3)を選別する一方で、より詳しい情報は、誰でも操作しやすいブログとの連携により収集・提供することとした。本システムの実物は、今大会のポスター発表の場において、デモンストレーションしたい。
本報告と共通タイトルを付けた直前報告はともに、科学研究費補助金『ユビキタスGISとAR技術に基づく地理・環境・防災教育の深化』(基盤研究B、代表:伊藤 悟)による成果の一部である。
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© 2014 公益社団法人 日本地理学会
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