主催: 公益社団法人 日本地理学会
演者らは,これまでに,南海トラフや日本海溝周辺に分布する長大な活断層の位置・形状を明らかにし,海底活断層の位置と歴史地震の震源域が良く対応することを示してきた.ところが,従来のアスペリティモデル(Lay and Kanamori,1980 )を重視する多くの地震研究者は,このような海底活断層の位置・形状の重要性を理解してない.陸域では活断層情報をもとに地震の長期予測が行われているにもかかわらず,発生源となる活断層を直接観察できないためか,変動地形学的に認定された海底活断層や変位地形は長期予測に十分に生かされているとは言い難い.海底地形データ(変動地形)と地下の断層の状況は異なると考える研究者は少なくない.しかしながら,海底の変動地形は海底活断層による累積的断層変位の具体的な物証であり,モデル設定において無視できる情報であるとは考えられない.