抄録
本発表は、山形市で開催された震災特集上映に参加した観客に対するアンケートを通して、観客が震災特集上映に、どのようなイメージを有しており、災害を描いた映像を、どのように認識しているかを考察することを目的とする。
観客アンケートは、2013年3月に開催された上映会と2013年10月に開催された山形国際ドキュメンタリー映画祭の特集上映において行い、ともに会場内の観客へ封筒に入ったアンケート用紙を手渡し、鑑賞後に返信用封筒を郵送で回収する方法で実施した。前者ではアンケート配布数222、回収数60で回収率は27%となり、後者ではアンケート配布数188、回収数42で回収率は22%となった。
被災地の映画館で実施した観客アンケートと、映画館ないし映画祭の役割について比較すると、癒しと安らぎの場としての必要性を肯定する回答が今回はかなり減少し、一方で多様な文化を知る場としての必要性を肯定する回答が増加したことが注目されよう。
以上のように、東北地方で開催されてきた映画祭において、東日本震災を語り継ぐ映像を上映することの重要性が観客アンケートを通して明らかにされた。