抄録
空中写真により、エルサルバドル共和国南部海岸低地レンパ川デルタからヒキリスコ潟にかけての地域の微地形を判読し、現地調査により微地形とイロパンゴカルデラ3~6世紀噴火に伴うTBJテフラとの層序関係を検討した結果、現在ヒキリスコ潟を閉塞する沿岸砂州(サン・フアン・デル・ゴソ半島)はイロパンゴカルデラの噴火後に形成されており、レンパ川下流域からヒキリスコ潟内部にかけて直線上に位置する微高地と島列は、噴火以前に形成されていた旧砂州が浸食された地形であると考えられる。一方、ヒキリスコ潟北岸のマングローブピート中には、TBJテフラ以降に堆積した有機質でない泥質堆積物が見出された。こうしたことからみて、イロパンゴ噴火後、レンパ川下流域~ヒキリスコ潟北岸地域への土砂供給が増加した可能性が指摘される。