日本地理学会発表要旨集
2014年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: 312
会議情報

発表要旨
韓国と中国の旅行案内書にみる東京の観光名所の空間とその表象
*南宮 智娜
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
旅行案内書を用いた最近の地理学的研究の中で,鈴木・若林(2008)は,日本と英語圏の旅行案内書を比較した.その結果,観光名所の種類別の分布からみると,英語圏の旅行案内書は,美術館,洋劇場,博物館といった文化的・教養的要素を重視する同時に,酒場のような夜型の名所にも関心を持つ傾向がある. 一方,日本の旅行案内書は買物と娯楽施設を指向する.しかし,この研究の対象地は東京の故,英語圏に対しては海外旅行になるが,日本側に対しては国内旅行になる.また,日本政府観光局の統計によれば,2012年の訪日外国人のうち76%がアジアからの旅行者であるので,アジア諸国の旅行案内書についての考察が必要である.そこで,本研究では,韓国(2013年訪日外国人1位),中国(同3位)で発行されている東京の旅行案内書を対象とする.観光庁の訪日外国人消費動向調査(2013年夏実施)によれば,韓国からの旅行者の76%,中国からの旅行者の64%が個人旅行であり,今後もこれらの国からの個人旅行が増え,旅行案内書の役割は高まると考えられる.  表1は,韓国と中国の旅行案内書各1冊をとりあげ,掲載されている観光名所の種類を比較したものであるが,中国の旅行案内書では飲食店の掲載数が多いなどの特徴がみられる.本研究では,韓国と中国とそれぞれ複数の旅行案内書を対象に,記述内容,地図・写真を比較することによって、観光名所のとらえ方,観光案内書が想定している旅行者の行動や意識について考察する.
著者関連情報
© 2014 公益社団法人 日本地理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top