日本地理学会発表要旨集
2015年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: P020
会議情報

発表要旨
2014年長野県北部の地震によって出現した地表地震断層の分布とその特徴
*丹羽 雄一岡田 真介石村 大輔遠田 晋次
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
1.はじめに
2014年11月22日に発生した長野県北部の地震(Mjma = 6.7; Mw = 6.2)に伴い,糸魚川―静岡構造線断層帯北部,神城断層に沿って明瞭な地表地震断層が出現した.著者らは,この地震にともなう地表変状を記録するため,地震発生翌日の11月23日~26日および11月29日〜12月3日の合計10日間におよぶ現地調査を実施した.

2. 調査方法
調査では,地表変状の観察・記載を行い,ハンディGPSを用いてその位置情報を記録することにより地表地震断層の連続をマッピングした.また,簡易地形測量を実施し,地表地震断層に沿って複数個所で上下変位量の計測を実施した.

3. 地表変形の特徴
今回の地震による地表変形はおおよそ既知の神城断層(澤ほか,1999;東郷ほか,1999)に沿って認められた(Fig. 1A).出現した地震断層は,その地表分布および平面・断面形状などから,西北西−東南東方向の圧縮による東傾斜東上がりの逆断層運動による変形と解釈される.今回の地震による地表変形の多くは,浅部で断層が低角化することによって,撓曲崖として地表に出現したと解釈される.その他にも,水平短縮を伴う変形,もしくは断層上盤側の開口クラック群によって地表地震断層を追跡することができる.厳密な断層の地表到達位置は,水平短縮を伴う地表変形の西側近傍,もしくは開口クラックよりも西側に推定される.これらの地表変形の特徴は,奥村ほか(1998)のトレンチ壁面で確認された厚い湖底堆積物および低角な断層と整合する.以下には,地表地震断層の分布及びその特徴に基づいて3つの区間に分け,その詳細を述べる.

3.1 北部区間(塩島―大出―深空地区)
今回の地震断層トレースの最北部に位置する塩島地区で上下変位量0.8 mを計測した(Fig. 1B).この値は,今回計測された上下変位量の中で最大のものである.塩島地区の東側では,西上がりの3条のバックスラストが確認できた.大出地区では,3条の東傾斜の逆断層が確認できた.主断層による上下変位量は,塩島地区から南方へと減少し,深空地区で地表トレースが確認できなくなる.

3.2 中部区間(深空―飯森―飯田地区)
本区間では,姫川と平川の合流点,飯森駅の東側,および,飯田地区の東側の3地点においてのみ,明瞭な地表変位を確認した(Fig. 1A).これらの地表変位を除いて姫川左岸側には明瞭な地表変位は見られないことから,地震断層は姫川右岸に沿って分布すると考えられる.

3.3 南部区間(飯田―堀之内―東佐野地区)
本区間の地表変位は,水平短縮を伴った地表変形で特徴づけられる(Fig. 1C).顕著な上下変位は見られないものの,低角逆断層による東西方向の収縮を示唆する道路面や水路の座屈変形が多数確認された.また,断層上盤側では南北方向に延びる開口亀裂も確認し,その西側に断層トレースが推定される.

文献:奥村ほか(1998) 地震,50, 35 – 51.澤ほか(1999) 都市圏活断層図,「白馬岳」.東郷ほか(1999) 都市圏活断層図,「大町」.
著者関連情報
© 2015 公益社団法人 日本地理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top