日本地理学会発表要旨集
2015年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: P067
会議情報

発表要旨
空間分析を用いた2000年代における飲食店の立地動向-和歌山市を例として-
*郭 凱泓
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

外食産業は高度経済成長の背景下で、1969年の第2次資本の自由化を契機に、本格的な産業として発展してきた。多業種の飲食店は、地域の特性や消費者層に適応した開店を進めることから、その立地は多様化する。また、飲食店の経営形態は基本的に単独店(零細、小規模店)とチェーン店(中、大規模店)という2種類に大別される。チェーン店は単独店と比較すると、市場環境の変化への配慮により、立地選択に差異が存じる。したがって、飲食店の立地展開の中で、異なる時期の業種別、経営形態別飲食店の立地動向が注目されるべきである。特に、2000年代に入ると、飲食店の数量が大量に減少する一方、飲食店の従業者数が急増する。これらの現象により2000年代の飲食店は再編時期に入ったことが判断できる。すなわち、この重要な時期における飲食店の立地動向を解明することは将来の飲食店の立地展開を検証する上で、重要なケーススタディとなるであろうといえる。
専門料理店と飲み屋の単独店は、事業所の分布が中心商業地域でさらに縮小するにつれ、これらの立地変化は中心商業地域に相対的に集中していく傾向がある。一方、専門料理店のチェーン店は道路沿いや駅前、大型店を選択して立地する傾向が強くなる。そして、飲み屋のチェーン店はランダムに立地する傾向がみられる。また、中心市街地の商業の衰退につれ、買い物客や観光客、主婦、学生が少なくなる。したがって、中心商業地域における軽飲食店の数量は続いて減少すると思われる。
  

著者関連情報
© 2015 公益社団法人 日本地理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top