抄録
2011年3月11日に発生した,東日本大震災は沿岸都市の水産業に甚大な被害をもたらした。水産加工業に関する研究は多くの研究者たちによって為されてきた。しかし震災以後の研究の蓄積が少ない。また震災による被害を受けた水産都市にとって、今後、地域資源の有効な活用方法という観点から水産物の地域ブランド化が水産都市の復興、復旧に果たす役割はより大きくなってくると考えられる(渡邉・真野,2013)。そこで本研究では、一都市内で産業集積を形成し、全国的な漁船受け入れのために整備された特定第三種漁港であり、被災した漁港の中でも最も水揚げ量が多く、三陸沿岸都市の中でも全国有数の水産都市である宮城県石巻市を対象とし、東日本大震災から4年が経過した2014年時点での水産加工会社の現状を明らかにし,それに対して企業がどのような行動を取っているのかを明らかにすることによって現在の石巻市における水産加工業の実態を解明し、地域産業の復興と発展に関して石巻市水産加工業における地域ブランド形成の観点から、問題提起を行うことを目的とする。