日本地理学会発表要旨集
2015年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: S1504
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発表要旨
離島における生業活動の多様性と複合性
甘蔗モノカルチュア化以前の喜界島のくらし
*藤永 豪
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抄録

喜界島は、鹿児島から南へ約380㎞、奄美大島の東端から約25㎞に位置する周囲48.6㎞、面積56.94㎢の離島である。主に隆起サンゴ石灰岩によって構成され、段丘状の地形を呈し、頂上部は百之台と呼ばれる台地が広がる。
現在の喜界島における主要産業は、サトウキビを中心とした農業である。ただし、かつては集落によっては稲作も盛んであり、麦類や雑穀類(アワやキビ)、イモ類(サツマイモやタイモ)、マメ類(ダイズやソラマメ)、野菜類などの多様な作物が栽培されていた。また、各戸では、ブタやヤギなどの家畜も飼育され、沿岸部では、“おかず捕り”としての漁撈も行われていた。もちろん、こうした生業は自給自足を基本的な前提としたものである。この他、食料に加え、燃料や肥料、飼料、建築資材など、生活の各種側面において必要な物資を調達(採集)するための多様な活動がみられた。これらの生業活動は、マイナー・サブシステンス的なものも含めた複合的な性格を有していた。
本報告では、昭和初期の喜界島阿伝を事例に、同島における生業活動を場所との結びつきから考察し、離島の環境利用と生活基盤の関わりについて検討する。

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