抄録
インドのICTサービス産業は,バンガロールやデリー首都圏地域などの大都市だけでなく地方都市にも立地しながら成長している。本報告では,こうしたICTサービス産業について,以下の二つの動きに注目しながら検討する。一つは大企業が主導する地方分散であり,もう一つは地方都市における地場中小企業の叢生である。前者は空間的分業を主軸とした産業立地のもとに,後者は起業家の縦横なネットワークのもとに地方都市を位置づけるものである。本報告では,こうした二つの動きが持つ相互の関連もとりあげることで,インドで台頭する「新経済空間」の一側面に迫る。