日本には数多くの湖沼が存在しているが、その中には標高2,500m以上の森林限界を越えた場所に存在する、いわゆる高山湖沼がある。この高山湖沼は地球環境変化の影響をより受けやすいとされ、川上(1993)は乗鞍岳山頂湖沼群が酸性雨に対する緩衝能をほとんど持っていないことを明らかにしている。また、近年の登山客増加に伴う人為的な汚染も指摘されており、渡辺ほか(1980)は長野県内の高山湖沼の汚染の状況を調査している。高山湖沼が高山における生態系を形成する場であるとともに、貴重な研究フィールドでもあり、さらに地球環境の変化や人為的な影響を捉える指標となることから、高山湖沼の研究を行うことは重要である。
そこで、法政大学では、改めて、2013年から高山湖沼の水環境の研究に取り組み始めている。ここでは2013年から2015年に実施した高山湖沼、特に御嶽山頂の湖沼群の調査結果を中心に報告する。